風色の本だな

風色の本だな

ぼくとわたしのはじめの一歩


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 あかちゃんから「ぼく」や「わたし」という意識が芽生えて、さまざまな好奇心が膨らんでいきます。

以下の2冊は息子と娘のそれぞれのお気に入りの絵本で、ほとんど暗証してしまったほど

くりかえしくりかえし「この本よんで!」とせがまれた絵本です。 

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ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ

  ◆ 『ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ』 ◆  

マーガレット・ワイズ・ブラウン/坪井 郁美 文/ 林 明子 絵 /ペンギン社


おばあちゃんから電話がかかってきて、ぼくはひとりででかけた。

おうちのまえの道をまっすぐいって いなかみちをまっすぐ まっすぐ。

ぼくは あるいた まっすぐ まっすぐ・・・。

 ぼくは、初めておばあちゃんの家までたったひとりで出かけていきます。

不安と期待を持ちながら、まっすぐ歩いていくうちに、さまざまな自然に出会います。

 「これはなんだろう?こわいものかなあ?」

ぼくはいくつかのハードルを乗り越えて、無事におばあちゃんの家にたどりつくことができます。

おばあちゃんにしがみついたときの安堵感といったら、

なんとも言葉に表せないようなものだったにちがいありません。

おばあちゃんの家までの道のりは、ほんの少しぼくを成長させてくれたのではないでしょうか。

裏表紙の、ケーキを食べるぼくは、うれしさと少しばかりの自信に包まれた、

いい顔をしているではありませんか。

 この絵本は今では高校2年生になる息子が2歳の時に

暗証してしまうほどのお気に入りだった絵本なのです。

「この絵本おぼえてる?」という問いかけに「もちろん!」という答が返ってきました。

今では親子で思い出を共有している、宝物のような一冊です。

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わたしのワンピース

◆ 「わたしのワンピース」 ◆   

西巻茅子 絵・文/こぐま社
 

西巻茅子さんのこの絵本はたくさんの幼い子どもたちに愛されています。

何度も何度も飽きもせず、「ねえ!これ読んで!」と言って

お母さんに絵本を抱えてねだる子どもたちの多いこと!

我が子も例外なく、この絵本が大好きでした。

 空から真っ白な布が落ちてきて、ワタシはミシンで白いワンピースを作る。

真っ白なワンピースが、お花畑の中を歩くと花模様になったり、

雨の中を歩くと水玉模様になったり・・・。

もう理屈抜きでウキウキしてしまう。

美しくて、楽しくて・・・。  

西巻さんの絵は子どもの心を捉えます。そして、言葉のリズムがとてもいい。  

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2001年の9月に、市の図書館主催で市の合併記念の文化講演会として

西巻茅子さんをお招きしました。

テーマは「絵本と子育て」 

 彼女は、アトリエで小さな子どもたちといっしょに絵を描いていました。

でもそこで子どもたちに教えたことなど、何一つなかったとおっしゃっています。

むしろ子どもたちからたくさんのことを教えられた・・・。

東京芸大を出て、プロの芸術家になろうとしていた彼女が

幼い子どもたちから教えられたことってなんだと思いますか?

 自分の思うままに悩むことなく筆を運んだ子どもたちは

「できたあ!」と言ってなんのためらいもなく、潔く筆を置く。

もう、子どもたちにとっては、それで完璧なのです。

プロの芸術家は、本当に悩むそうです。到達点がどこなのか、何を持って完成とするのかと・・・。

 そんな子どもたちから、たくさんのことを学んだ彼女が描いた絵本は

いつも子どもの夢であふれています。

まず夢のある絵で子どもたちの心を捉えてしまう。 

 彼女は言っていました。幼い子どもたちにう~んと心を動かしてほしいと・・・。

  私も、よく思うのですよ。読み聞かせをしていると、心と心が響き合う瞬間があると・・・。

どうぞ、心と心が響き合うステキな時間をこれからも大切にしてください!

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